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航空機のタイヤ摩耗予測技術

ブリヂストンとJALが共同開発した新技術

2020年6月に、ブリヂストンとJALは航空機のタイヤ交換において、タイヤ摩耗予測技術を活用し始めたと発表しました。
タイヤ摩耗予測技術というのは、航空機のフライトデータや知見とブリヂストンが持つタイヤに関するデータや知見を融合させ、タイヤの摩耗を事前に予測するというものです。

タイヤ摩耗予測技術を活用したタイヤは、JALが所有する航空機全てに装備されるわけではありません。
まずは大阪の伊丹空港を拠点として地域路線を運航するJ-AIR機体の内、エンブラエルE170とE190型に絞っています。
交換作業については、ブリヂストンから整備士が派遣されるわけではなくJALのエンジニアが担当することになります。
実際の稼働状況によって今後は少しずつ搭載する機体が増えることが期待されており、上手くいけば将来的にはJALの全機体にタイヤ摩耗予測技術を搭載したタイヤが搭載されることも夢ではないでしょう。

どんな技術?

航空機のタイヤは、自動車やバイクのタイヤと同じではありません。
機体の重量と速度を支えながら、離着陸の衝撃や路面との摩擦に耐えなければいけません。
過酷な条件下で使われるため、タイヤは頻繁に交換しなければいけません。
通常では航空機が数百回の離着をしたらタイヤ交換という目安となっていますが、使用環境によってタイヤの摩耗速度は変わりますし、どんな環境で使われるのかによってタイヤの寿命なども異なります。

これまで、航空機のタイヤ交換は整備士の目利きや経験などで摩耗を予測し交換作業が行われていました。
勘が外れてしまうリスクなどもあり、突発的にタイヤ交換が必要になってしまうこともありました。
また航空会社は多くの航空機を所有しており、タイヤ交換の時期が集中してしまうこともありました。

しかしタイヤ摩耗予測技術を活用することによって、より正確なタイヤ摩耗を予測できるようになりますし、計画的なタイヤ交換をしやすい環境が整備されます。
その結果タイヤ交換の時期が集中する事態を回避でき、より計画的で余裕を持ったタイヤ交換作業が可能となります。

タイヤ摩耗予測技術によって航空機のタイヤの未来はどうなる?

タイヤ摩耗予測技術を活用することは、ただ計画的なタイヤ交換作業ができるようになるという事だけがメリットではありません。
タイヤやホイールの在庫を大量に抱える必要がなくなり、在庫管理がしやすくなるというメリットが期待できます。
高精度な摩耗状況が分かるため、整備作業が効率化でき、整備士にとっては働きやすい環境整備にもつながる事でしょう。

更にタイヤ摩耗予測技術は、製造過程から使用する過程までCO2の排出量削減が可能となります。
地球にとってエコという点も、航空機のタイヤの未来にとってプラスとなるのではないでしょうか。