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走行中の車両に給電する新技術

車両のタイヤから無線給電する技術について

世界的に、電気自動車のニーズと流通量が高まっています。
そこで検討すべきなのが、どのように効率よく充電するかという問題です。
EVはガソリン車のように、燃料を入れればすぐに動けるというものではなく、急速充電を使っても15分以上、通常充電では数時間かかることも珍しくありません。
これでは、長距離の走行では不便な車となってしまいます。
そこで、さまざまな効率的な給電システムを開発しようと、研究機関やメーカーがしのぎを削っています。

その中で、2023年の1月26日に、「タイヤ内給電システム」というものが発表されました。
ブリヂストンとデンソー、そして日本精工、ロームと共に東京大学が共同研究したもので、これは道路そのものに充電用の設備を敷設して、そこから給電を行うというものです。
当然、車ですから道路と接しているのはタイヤだけです。
そこで、タイヤに対して給電ができ、そこからボディーのバッテリーやモーターに給電されて走行を続けられるというものです。

この給電システムの大きな特徴は、自動車が走りながらでも給電できるという点です。
ガソリンスタンドや充電ステーションに立ち寄って補給する必要がなくなり、理論上はずっと走り続けられるようになるわけです。
また、常に給電できる状態となりますので、大型のバッテリーが不要となります。

理想を突き詰めれば、バッテリーそのものも不要となり、常にモーターを回すのに必要な電圧を確保できればずっと走り続けられるわけです。
バッテリーは多くの化学物質などを使用しますので、使用せずに済むのであれば環境にも優しい車づくりができることになります。

給電システムの仕組み

この画期的な給電システムは、まず道路に送電コイルを埋め込みます。
ここで磁界を発生させて、タイヤとホイールの内部に埋め込まれた中継コイルに給電することになります。
タイヤの中にあるコイルと、ホイールに組み込まれたコイルは電線で接続されていおり、そのため金属ホイールでも給電が可能となります。

これらの中継コイルから、ハブの中に搭載されている受電コイルに電気が送られます。
そして、ここからケーブルを伝ってバッテリーもしくはモーターに電気が行くという仕組みとなっています。

このように、路面から給電するには無線で給電できるというのが大きな条件となります。
その課題を解決するためには、送電側と受電側のコイルの距離をできるだけ短くしなければいけません。
距離があると送電ロスが大きくなってしまうからです。

その点、このシステムではタイヤとホイールに中継コイルがありますので、距離をかなり短くでき効率的な給電ができるのです。
その分、送電量が多くなり実用化が見えてくる結果を出せたのです。