グアユールの特徴
自動車やバイク、自転車、そして飛行機に至るまで欠かせないのがタイヤです。
タイヤはゴムで作られていますので、常に天然ゴムの供給が欠かせないものとなっています。
そこで、天然ゴムをいかにして安定供給できるかということは世界中の車両に影響するものとなるわけです。
その点で今注目されているのが、「グアユール」という植物です。
天然ゴムは基本的にゴムの木とも呼ばれる「パラゴムノキ」から採られますが、グアユールはこのパラゴムノキから採れる天然ゴムと似た物質を作ることができるのです。
グアユールはアメリカの南西部やメキシコ北部を原産とする植物で、1メートルくらいまで育つ低木です。
この植物を粉砕して処理すると天然ゴムができるということで、新しい天然ゴムの供給源となるのではないかということで注目を集めているのです。
ブリヂストンでは、実際に2015年にグアユールを使ってタイヤを作っています。
グアユールの栽培から加工、タイヤ製品としての品質管理、最終的な評価までを行って、これからのタイヤとして使えるかどうかをチェックしてきました。
グアユールの栽培方法と加工について
グアユールは低木ですので、一般的な畑で栽培するような形で栽培ができます。
加工できるまで成長するには3年ほどかかり、十分に成長したら枝も葉も含めてすべてを収穫します。
それを工場にて粉砕してから、ゴム成分のみを溶媒を使って取り出していきます。
そして、不純物を取り除いてから溶媒を除去します。
これによって天然ゴムができますので、後はタイヤに使うゴムとして加工するだけです。
天然ゴムに合成ゴムやブラックカーボンなどを混ぜて丈夫な素材とし、その後、成形やカットをして最終的なタイヤに仕上げていくのです。
グアユールは、利用できるまで成長したら木をまるごと収穫して粉砕することになります。
そして、天然ゴム成分のみの抽出をする工程が必要となります。
一方のパラゴムノキは、ラテックスを取り出したら後は乾燥するだけで天然ゴムが採れます。
グアユールの方が工程が多くなりますので、その分、時間と費用がかかるわけです。
そこで、さらなる技術開発を行い、より簡単に天然ゴムを抽出、加工できるような方法を編み出していくことになります。
そうすることによって、新しい天然ゴムの原料を安定供給できるようになるでしょう。
グアユールのメリットとは?
天然ゴムを得るためにグアユールを使うメリットとしては、まず生育期間が早いという点があります。
3年ほどで収穫できますので、4~5年かかるパラゴムノキよりも早く製品化につなげることができます。
さらに、成長しても木が低いままですので管理や収穫がしやすいことや、生育させるための土地を確保しやすいといったメリットもあります。
農家が新しい作物の一つとして始めやすい植物なのです。