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タイヤ用ゴムの木を守るための取り組み

パラゴムノキに起こる病害の原因とは?

タイヤ用ゴムに欠かせないのが、天然ゴムの元となるパラゴムノキです。
パラゴムノキは十分成長してから、木の表面に傷をつけると白い樹液を出します。
この樹液はラテックスと呼ばれ、ラテックスを乾燥させることで天然ゴムとなるのです。

グアユールは成長してから最大で25年ほど樹液を出し続けますので、非常に貴重な原料の供給源となります。
世界中でゴムの需要は非常に高いものですので、天然ゴムの供給、そしてパラゴムノキの栽培と管理というのは産業に大きな影響を与えるものとなっています。

ところが、最近天然ゴムの供給を脅かす事態が起こっています。
現在のパラゴムノキの世界全体の生産のうち9割程度が東南アジアに集中していますが、その東南アジアにおいて、パラゴムノキへの病害が深刻化しているのです。
根白腐病という糸状菌に感染することによって起こる病気で、菌に感染してしまうと根が腐ってきて樹木を枯らしてしまいます。

この感染は確実にストップしないといけないのですが、感染が根で起こっているということもあって、発見するのがとても難しいのがネックとなっています。
診断のためには土を掘り起こす必要があり、初期の段階で見つづらいのです。
また、感染した樹木について対応する方法が少なく、影響を受けている部分を切除して殺菌するしかないという問題もあります。

病害への対策や技術

こうしたパラゴムノキの病害を防ぐために、さまざまな対策や技術を開発しようと努力がなされています。
たとえば、衛星画像を使って枯れ始めている樹木をピンポイントで見つけ出し、そこから感染が広まらないようにスピーディーな対応を取るといった試みです。
また、土を採取してDNAを使って菌が繁殖していないかを調べるといった方法も開発されています。
これにより、土を掘り起こしてテストする必要がなくなるのではないかと期待されています。

他にも、樹液の成分をチェックすることで、感染が起こっていないかを判断する手法も研究されています。
ラテックスのタンパク質の量が感染によって変化することが確かめられていますので、それをチェックすることで初期の段階で感染を確認し、早い処置を取れるようにしようとするものです。
こうした診断技術が進歩することで、感染をゼロにすることはできないにしても被害拡大を最小限にすることは可能です。

ゴムの重要性を再認識したい

車と名の付くほとんどのものに、タイヤそしてゴムが使われています。
それだけに、パラゴムノキを守っていくというのは非常に重要な課題となっています。
病害があってもその影響を最小限に抑えるための取り組みがなされていますので、こうした影の努力にも目を向け、今一度ゴムの重要性を再認識したいものです。